私の苗字と、ある企業
時期 小学校低学年
場所 友人宅の玄関先
思い出したきっかけ とあるCM
ふとテレビを見ていたとき、ある企業のCMが流れていました。
とても有名な企業で、たくさんのCMを流しています。
私も商品を何度も購入したことがありますし、自宅に常備しているものもあるぐらいです。
ですが、その企業のことをとても憎んでいたことがありました。(前もって言っておきますと、完全にお門違いな憎しみです。)
私の苗字は割とありふれた苗字ですが、その企業名と若干似ています。
実名を出すわけにはいきませんが、「松本」と「マツモトキヨシ」みたいなものをご想像ください。(株式会社マツモトキヨシさん、勝手に名前を使うことをお許しください。今も昔も恨んでなんかいません。)
小学校低学年のとある日、友人が唐突に「おーい! マツモトキヨシ!」と声をかけてきました。
私の下の名前はキヨシではありません。
「松本」は他にもいますので、私のことではないと思い何も反応をしなかったのですが、その友人が小突いてきました。
「なぜ返事をしないのか」と。
「だって僕は「マツモトキヨシ」じゃないし」と答えると、
「お前は「松本」だろ? だから「マツモトキヨシ」なの!」
という意味の分からない言いがかりを付けられました。
そこからは周りを巻き込んでの言い合いです。
どう考えたって理は私にありますが、そこは小学生。
周りには、普段から人気者であるその友人の肩を持つクラスメイトがいっぱい。
最後には私は何も反論できなくなり、無言でうつむいてしまいました。
泣きはしませんでしたが、心の中で大泣きしていました。
ウソです。帰り道にめっちゃ泣きました。
泣きながら自宅に帰ってきた私を見て母はびっくり。
何があったのかと尋ねられますが、私は恥ずかしさと苛立ちで上手く話せない。
それでも母は辛抱強く付き合ってくれ、ようやく私は学校で起きたことを話すことができました。
事情をなんとなく理解した母は、友人宅に電話を入れます。
それを見て、「お母さんが文句を言ってくれるんだ!」と嬉しくなり、涙も止まりました。
数分後、電話を置いた母は、「今から一緒に友人宅に行くよ」と一言。
電話だけじゃなく会って文句を言うのかな? と付いていき、母が友人宅のチャイムを鳴らすと出てきたのは友人と友人の母。
とっさに母に隠れた私に母が言ったのは、「さあ、言いたいことを言ってこい」。
「え? お母さんが言ってくれるんじゃないの?」と私。
「いやいやいや、怖いし無理無理無理!」とまた泣き出す私を母は手で押し出し、仁王立ち。
恐る恐る友人の前に立つと、友人もなぜか涙目。
涙目の友人を見て怖さが少し和らぎ、湧いてきたのは怒り。
怒りに任せてぼろくそに気持ちをぶつけました。
気持ちを吐き出し、めちゃくちゃな顔になった私を見て友人は全力で謝ってくれました。
「ごめんね!」と。
なお、最後に母の方を振り向くと、母2人はにこやかに談笑していました。
翌日以降、このことでからかわれたりすることは全くありませんでしたが、「マツモトキヨシ」のことが大嫌いになってしまい、お門違いの恨みが消えるのはだいぶ先のことでした。
繰り返しになりますが、株式会社マツモトキヨシさんには今も昔も何の恨みもございません!