思い出した日記

思い出したことを日記として書き記しています。

学芸会の衣装

時期 小学校高学年

場所 学校

思い出したきっかけ 映画を見て

 

某ロードショーが好きで毎週チェックしているのですが、ある週、有名な戯曲をもとに作られた実写映画(映画自体も有名です。)を視聴する機会がありました。

その戯曲は実写映画だけでなく、アニメ、舞台など幅広く取り上げられる作品ですが、小学校の学芸会でも取り上げられたことがありました。

 

その学芸会で私は、セリフはそれなりにあり名前も付いている(村人Aとかではない。)ものの、脇役の一歩手前ぐらいの目立ち具合、という役どころでした。

 

あまり人前で目立つことが好きでなく家族もそう認識していたため、名前の付いた役をすることになったことに家族は大変驚き、そして喜んでくれました、

 

私の祖母は元・仕立て職人で、自分の部屋に専用のミシン台を持ち、雑巾からスーツまで何でも縫うことができる人でした。

また、母はパッチワークが趣味で、祖母ほどではありませんがやはり大抵のものは自分で縫うことができました。

 

そして、学芸会の私の役どころを聞いた二人は「衣装作っていいよね?」とやる気になったようでした。

どちらにせよ衣装は自分で準備しなくてはいけなかったため、「じゃあよろしく」と私は軽くお願いしました。

 

そして日にちが経ち、学芸会のリハーサルの日の前日、衣装が出来上がりました。

自信満々な二人が私に披露してくれたのですが、私は絶句してしまいます。

祖母の部屋に連れられると、そこには輝かんばかりの純白の生地で縫われた上下のスーツ!!

 

いやいやいやいや、脇役一歩手前ぐらいの役ですよ?

絶対主役より目立つじゃんこれ。

 

しかし、あまりに自信満々な二人を前にしてそんなことは言うことはできず、口にできたのは「ありがとう」の一言だけ。

 

そしてリハーサル当日、皆が着替え始めたため私も意を決して白スーツを取り出します。

ざわつく教室。

近寄ってくる先生。

色々な表情になった後に先生が言ったのは「すごいね」の一言だけ。

私は泣きそうになりましたが、なんとか堪えました。

 

そこからのリハーサルの風景はよく覚えていません。

もちろん白スーツで頑張りました。

 

自宅に帰ると二人が私に「どうだった?」と尋ねます。

「恥ずかしかった! あんな服イヤだ!」と絶叫したいところですが、二人が頑張って作ってくれたことが分かっているため、何も言うことができない。

 

結局泣いてしまいました。

泣きながらどうにか自分の気持ちを二人に伝えると、二人とも悲しそうな顔をしましたが、私に謝ってくれました。

そして、「本番までに服を買いに行こうね」と優しく言ってくれました。

その後、無難な服を買い、本番は無難な服で乗り切ることができました。

 

白スーツはその後どうなったんだろう……。二人に申し訳なくて未だに聞くことができていません。