72という数字
時期 中学校1年生の4月の終わり
場所 電車の中
思い出したきっかけ 実家に帰る電車
私の実家は、ある地方都市のターミナル駅から100分ほど電車に乗り、さらにバスで20分ほど揺られた先にあります。
ターミナル駅から実家までの道のりは、中学校・高校の通学路とほぼ同じで、帰省する度に当時のことを思い出します。
色々思い出すことがある中で、強烈な思いとともに思い出すのは72という数字のことです。
当時、私は家から90分ほどのところにある中高一貫校に通っていました。
同じ小学校から同じ中学校に進んだ子は1人だけで、その1人とも特別仲が良い訳ではなく、中学1年のときはたまたま同じクラスになったもののほとんど会話をすることはありませんでした。
小学校ではそれなりに友達がいた私ですが、見知らぬ土地の見知らぬ人たちとどのように仲良くなればいいのかが全く分からず、学校では授業以外で会話をほとんど誰ともしない日が続きました。
行きの電車も1人、学校でも1人、帰りの電車でも1人。
そんな日々が1か月続いたとき、帰りの電車の中で私はこんなことを思いました。
これが72か月、つまり72倍も続くのか……と。
絶望的な気分でした。
ただ、この後学校の色々なイベントでそれなりに友達もできて、行き帰りが同じ電車の友達もできました。
ですが、今になって強烈に思い出すのはその友人たちのことではなく、あの苦しい絶望感です。
いつになったら思い出すこともなくなるのでしょうか。